2012/06/16

「真贋」を読んだ

仕事とはあまり関係ない本をどんどん読んでいくシリーズの第2段。2012/3に亡くなった思想家/詩人/批評家の吉本隆明氏の2006年の本だ。

簡単にスパッと切れるような本ではないが、いくつか気になった文章とそれについての意見を書いておく。

「時代が下るにつれて精神はだんだんダメになってきたという言い方が、一般論としてはあり得るような気がします。」とあるのだが、少々違うのではないかと思っている。真意は同じなのかもしれないが、人間の本質は道具が進歩してもそれ程急激に進化しないので、相対的に心身ともに時代についていけないということだと思っている。

「日常生活では...あるいは家庭の中で何か問題があるかどうか、などといったことと、その人自身がプロとして優れているかどうかということは、区別して考えるべきだと思っています。」というのは凡そ同意できる。人間だれしもが聖人君子なんてことはないから。

そして最後のパラグラフ「なにはともあれ、いまは考えなければならない時代です。...いま、行き着くところまできたからこそ、人間とは何かということをもっと根源的に考えてみる必要があるのではないかと思うのです。」は、行き着くところまで来たとは思っていないが、常に考えることは大事だということだろう。

何れにしても人生経験の長い人の文章には含蓄がある。

<目次>
第一章:善悪二元論の限界
第二章:批判眼について
第三章:本物と贋物
第四章:生き方は顔に出る
第五章:才能とコンプレックス
第六章:今の見方、未来の見方



発行:講談社
著者:吉本隆明
定価:495円+税
約26
0ページ
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